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本巡るノラネコ団集会後記#02:成澤さん対談後記

2021年5月5日(水)に本巡るノラネコ団集会の第2回が開催されました。

今回登壇いただいた株式会社AFURIKA DOGS(アフリカドッグス)代表の中須俊治さんに対談後の感想を交えた後記を執筆いただきました。

対談後記

「だからこそ、諦めない。」

 

いつだって、この世界がどう見えるかは自分次第だ。今この瞬間、自分はツイテないと思うかもしれないし、むしろラッキーだと思えるかもしれない。生きていたら大変なことだらけだ。そうだとしたら、前を向ける時間が多いほうが得だ。成澤俊輔さんとの対談で、改めてそんなことを思った。

 

ちょうど1年前の2020年5月、例のコロナで、必死に築き上げてきた事業のすべてが吹っ飛んで、売り上げがゼロになった。それまでの半年間、その事業のオペレーション構築に全集中していたこともあり、それがすべて吹っ飛ぶということは倒産の危機に瀕することと同義だった。そんな状況を、悲壮感あふれる顔で過ごすこともできる。でもぼくは、「早かれ遅かれ、フィールドにするアフリカ大陸で感染症や政情不安で入国できないリスクは常にあった。新事業がスタートする前に、コロナがあってよかったのかもしれない」と思えた。

 

2020年9月、息子にガンがみつかった。コロナの大打撃を乗り越え、はじめての常設店舗のオープンに向けて奔走していたタイミングだった。その状況を、悲劇と捉えて、事業を諦める理由にしてもいい。しかしぼくは、「またひとつ、諦めたくない理由ができた」と思えた。おかげで、これまで知らなかった世界が、どんどん広がっている。

 

この1年間の激動に対して、それをポジティブに捉え直し、楽しみながら乗り越えてこられたのは、成澤さんによるところが大きい。成澤さんには、「世界で一番明るい視覚障害者」というキャッチコピーがある。日常的に、数々の壁にぶつかってきている成澤さんの「大丈夫」は、ほんとうに大丈夫な気がしてくるから不思議だ。

 

成澤さんと出会ったのは2年くらい前。当時、成澤さんはアフリカに行こうとしていた。「目の見えないぼくが一人でアフリカに行ったら、いろんなメッセージになると思って」と、笑いながら話していた。その後、成澤さんはマジでひとりでアフリカはケニアに飛んで、現地の起業家の経営相談にのってきた。やる気があれば、なんでもできる。

 

なにかを理由に、諦めることがある。しかし、そのなにかを理由に、諦めないことだってできる。目が見えないからこそ、成澤さんはアフリカに行った。コロナだから、家族が病気だから、お金がないから、スキルがないから、経験がないから、「こそ」諦めない。いつだって、この世界がどう見えるかは自分次第なのだから。

出演者紹介

中須俊治

中須俊治氏近影

京都生まれ。滋賀大学経済学部卒業。

株式会社AFURIKA DOGS代表取締役社長。重彩プロデューサー。「みんなが笑って過ごせる世界をつくる」ために日本とトーゴ共和国を往復し、エウェ族と京都の職人の染色技術を重ねて、商品開発している。大学在学中に単身アフリカへ渡航し、ラジオ局のジャーナリストとして番組制作に携わる。大卒後、京都信用金庫に入社。嵐山地域で営業を担当した後、独立・起業。モットーは他力本願、2児の父親。

  • 著書一覧

成澤俊輔

中須俊治氏近影

1985年佐賀県生まれ

先天的難病の網膜色素変性症により、埼玉県立大学社会福祉学科卒。20代前半で視力を失う。

幼少より視覚障害による孤独感を感じ、大学在籍7年間・経営コンサルティング会社での激務を経験。2009年に独立。2011年12月に就労困難者の雇用創造を掲げるNPO法人FDA事務局長に就任。2013年3月には症候性癲癇となり新たな使命を抱く。日本唯一の障がい者雇用分野の当事者・福祉の専門家・経営者という三つの立場を生かし、「世界一明るい視覚障害がい者」というキャッチコピーとともに活動中。その活動が認められ、2016年8月から2020年3月までNPO法人FDAの理事長へ就任。

  • 著書一覧

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